
組織培養を利用した
種苗生産技術の開発と
事業展開

ミヨシの組織培養事業の始まり
ミヨシの組織培養事業は、1968年に三好靱男が自宅に小規模なメリクロン研究所を建てたことに始まります。三好靱男はメリクロンの可能性に着目し、組織培養事業を始めました。当時はまだ研究段階の技術であったため、専門家の指導を受けながら、実務にあたりました。組織培養事業の開始当初は、クリーンベンチも普及しておらず、無菌室での作業から始まりました。その後、クリーンベンチの普及と共に、組織培養苗の事業は発展していきました。

メリクロン
メリクロンとは、植物の茎頂組織を無菌培養して栄養繁殖したものの意であり、ミヨシではメリクロンという言葉の普及にも努めました。メリクロンしたカーネーションは品質や生産性が向上し、苗の需要が増大しました。

さらなる研究開発と組織培養苗生産に取り組むため、1972年には山梨県小淵沢町にミヨシ八ヶ岳農場・メリクロン研究所を開設し、組織培養事業は益々発展していきました。1980年代には、ミヨシは生産委託先のクリーンベンチ台数も合わせると日本一の規模となりました。

注目を集めるミヨシのメリクロン
ミヨシでは様々な品目に積極的に取り組み、次々と組織培養による苗生産を成功させ、世界的にも注目を集めました。1979年には、ブドウの生長点培養によるウイルスフリー苗の生産手法を開発し、これは世界初の事例として各国の研究者から問合せが殺到しました。1984年には、組織培養事業の先駆的貢献が認められ、三好靱男が園芸学会から園芸学会功労賞を授与されました。

1987年には、国際園芸学会シンポジウムでシクラメンの組織培養による増殖について発表し、海外からも高い評価を受けました。
グローバルな生産体制の構築と競争力の強化
組織培養苗の需要拡大に対応するため、1988年には台湾に新高生物科学股份有限公司(GBC)を設立し、海外生産を開始しました。GBCはミヨシの指導の下、組織培養苗の生産・販売を伸ばし、開業4年目で黒字転換を果たしました。

その後も台湾のみならず、インドでの培養委託生産を開始するなど、組織培養苗の生産事業は拡大を続けました。2010年代からは、将来的なコスト増を見据え、アジア圏での新規海外生産委託先を開拓し、生産体制の最適化を図ってきました。複数の海外生産拠点を持つことでリスク分散も実現しています。
組織培養苗生産技術の開発
組織培養苗生産は、微細な環境条件をコントロールし、再現性の高い生育と増殖を安定的に実現することが重要です。ミヨシでは、組織培養苗生産の安定化を図るための技術開発に取り組んできました。近年では、LED照明の導入により、省エネ効果とメンテナンスコストの削減を実現し、安定した生育環境を構築しました。また、病理検定技術やDNA解析技術の開発にも取り組み、組織培養苗の生産を支えています。