
シクラメン
日本国内におけるシクラメン生産は、1920年代に始まり、温室技術の発展に伴い1970年代には生産者が増加しました。1975年頃からパステル系品種の生産が始まり、2010年頃からはF1品種の生産が主流となっています。ミヨシグループはシクラメンの種子・プラグ苗・ポット苗を販売しており、海外育種会社系統品種の他、国内個人育種家作出品種も多数独占的に取り扱っています。1997年からは(株)エム・アンド・ビー・フローラが販売を担っています。

ミヨシとシクラメン
ミヨシは創業間もない1952年頃からシクラメンの販売を開始しており、1961年には「極早生M号ボンファイヤー」をカタログ掲載し、赤色大輪種の代表格となりました。1960年頃には高冷地で半成品まで育苗した苗の提供も行っていました。1975年には歴史的品種「信濃紅」の販売を開始し、ヒット商品となりました。また、1982年には日本で最初に育成されたパステル系の複色品種「あけぼの」を発売し、大きな反響を呼びました。ミヨシはF1品種にもいち早く着目し、1980年には日本で最初にF1品種の販売を開始しました。
新技術メリクロンによる商品開発
1980年代以降、国内個人育種家による特徴的な品種が盛んに育成されるようになりましたが、品種の固定に課題が残っていました。ミヨシは他社に先駆けてメリクロン技術による増殖を行い、生育が旺盛で花立ちの良い品種を開発、1988年にはメリクロン・シクラメンをカタログ掲載し苗販売を行いました。その後も多数の特徴ある品種がメリクロン技術により販売に至っています。



品種開発育成のために共同研究や育種協力にもトライ
栽培期間の長いシクラメンにおいて、ニーズの変化や品種の多様化に対応するため、1984年にシクラメン共同研究会を立ち上げ、優良品種・優良系統の 作出に取り組みました。共同研究会は1991年に発展的解消となりましたが、その後も一部の生産者とは協力関係を継続し、新品種の育成を支えました。
ミヨシグループと個人育種家との連携
1990年代から国内育種家作出による品種が注目を集めるようになってきました。ミヨシグループは育種家とタイアップし、独占的に販売を担う品種を増やしていきました。多くの個人育種家のご協力により、「極早生M号ボンファイヤー」、「信濃紅」、「ネオゴールデンガール」、「ランジェリーピンク」など数々の大ヒット商品を出し、シクラメンマーケットでの地位を確立しました。



小鉢化と超特異性商品の開発
1990年代後半から、海外からのF1品種から生産された小鉢シクラメンが広まるにつれて、贈答用の大鉢の需要と生産が減少傾向となりました。エム・アンド・ビー・フローラでは、2019年に大輪系ランドスケープシクラメン「ドリームスケープシリーズ」の販売を開始しました。一方で、贈答用の大鉢シクラメンは花形などがより特徴的な品種が望まれるようになってきており、今後のメリクロン技術による新品種開発に期待が高まります。