カスミソウ

カスミソウはミヨシのアイデンティティとも呼べる代表品目です。三好靭男は、カスミソウの花材としカスミソウての魅力にいち早く着目し、ミヨシは1970年代に当時困難だったカスミソウの組織培養と挿し芽増殖を活用した種苗供給体制を確立しました

品種形質の維持と高品質で安定的な苗生産に向けた生産方法の変遷

当社は、安定供給と品種形質の維持のため、組織培養で増殖させた変異のない母株を生産し、衛生度の高い原種室で管理しています。さらに、開花結果に基づいた品種形質検定も実施し、品種形質が安定した母株の生産体制を構築しました。また、採穂のタイミングや挿し穂のサイズを変更するなど、生産方法を改善し、歩留まりの向上と均質な苗の安定供給を実現しました。

ミヨシの均質なカスミソウ苗

カスミソウの品種の変遷と当社の品種開発

1970年代、日本のカスミソウ栽培は、当社のメリクロン挿し芽苗によって本格的に普及し、当時の品種は「ブリストルフェアリー」が主流でした。1993年には、当社はブリストルフェアリーから系統選抜された「ニューフェイス」などを発売し、大ヒットしました。1990年代中ごろにはイスラエルのDanziger社の「ユキンコ」が登場し、当社でも販売し人気品種となりました。2005年には、当社は花持ちの良さに着目し開発した「アルタイル」を発売、これも大ヒットとなりました。その後、各社の品種開発競争が激化し、品種戦国時代を迎える中、海外では、当社開発の「ディスカバリー」がヨーロッパ市場で普及しました。

「アルタイル」の普及の取り組み

当社はアルタイルの普及のため、カスミソウプロジェクトを立ち上げ、切り花供給の拠点産地への栽培技術の普及活動と、市場や消費者への品種普及活動に取り組みました。IFEXでのPR活動や、卸市場での品種プロモーションなども実施し、「新しいカスミソウ=アルタイル」という印象を形成する活動も行った結果、アルタイルは急速に普及し、国内カスミソウの40%以上を占めるまでに成長しました。

新品種開発とロングセラー商品であり続けるための取り組み

カスミソウは、系統のブレによって商品寿命が絶たれる品種も多く、一般的に7年程度と言われています。しかし、当社は独自のノウハウと厳格な管理により、アルタイルシリーズを約20年間もロングセラー商品として提供し続けています。

品種開発の現状と将来に向けた取り組み

新品種開発においては、花持ちの良さ、温度ストレスなどの環境への対応性を基本とし、異常気象や厳しい環境下でも安定的に栽培できる品種の開発に取り組んでいます。また、花の大輪化や作業労力の低減といったニーズに応える品種開発も進めています。今後も、幅広い品種展開を進め、カスミソウの更なる発展に貢献してまいります。